俺調べ。

アルファロメオ 4Cスパイダーは「移動手段」ではない。「乗るための乗り物」だったというお話

どうも、田舎の片隅でポツンと暮らしている50代のおっさんです。

ガレージこそ持っていませんが、ここは土地だけは無駄に広大な田舎町。敷地だけはほぼ無限にありますので、愛車たちを青空のもとズラリと並べては、日夜「視力が落ちたな」「腰が痛いな」と体の衰えを痛感しております。

さて、今回は私が所有する愛車の一台、アルファロメオ 4Cスパイダーについてお話しさせてください。

ネットのインプレッションや車好きのレビューを見ていると、「街乗りは▲」「旅行の足にはならない」なんて言葉をよく見かけます。これに対する私の率直な感想ですが……甘いです。甘すぎます。

結論から申し上げますね。

4Cスパイダーは移動手段ではありません。乗るための乗り物です。

快適性と引き換えに手に入れた「脳を焼く」体験

実用性だの、乗り心地だの、荷物が載るだの、そういった「移動手段としての利便性」をこの車に求めること自体がナンセンスなんですね。

現代の車というのは、本当に素晴らしい進化を遂げています。我が家にある車たちを見渡してみても、その進化の恩恵をひしひしと感じます。

例えば、愛犬のジャーマン・シェパード用に用意したトヨタ ハイエース S-GL。ショップにお願いして、エンジン停止時でもポータブルバッテリーで家庭用エアコンが駆動するカスタムを施してあるのですが、これがもう最高に快適です。もっぱら愛犬とのお出かけはこのハイエース一択。

あるいは、どこへでも行けるランドローバー ディフェンダー90や、巨大すぎて我が家の敷地を圧迫しているキャンピングカー、アドリア ソニック700SL(デカすぎて滅多に動きませんが……)。どれも乗員を安全かつ快適に目的地へ運ぶための「優れた移動手段」です。

しかし、4Cスパイダーのコクピットに身を沈めた瞬間、そうした現代的な快適性という概念は全て吹き飛びます。

パワーステアリングなんてものは存在しません。据え切りをすれば腕の筋肉が悲鳴を上げ、路面の凹凸はダイレクトに腰へと伝わってきます。遮音材を極限まで削ぎ落としたカーボンモノコックの車内には、背後にある1.75リッター直列4缸ターボエンジンの機械音と吸気音が容赦なく響き渡ります。

そう、この車に乗ると、他の車があまりに快適だったが故に忘れていた「何か」を強制的に思い出させられるのです。

車とは本来、鉄と火とガソリンの塊であり、それを人間が全身の感覚を研ぎ澄まして操るものだったのだと。日常の移動で完全に麻痺していた五感が、一気に覚醒していく感覚。まさに脳を焼かれるような非日常です。

いつもの道が、まったく別の「サーキット」に変貌する

この非日常感の凄まじさは、実際に走らせてみるとより鮮明になります。

普段、スーパーの往復や役所への用事で「普通に走っていた田舎道」があるじゃないですか。なんの変哲もない、いつものアスファルトです。

4Cスパイダーのステアリングを握ってそこを走ると、今まで普通に走っていた道が完全に別物になります。

ちょっとしたカーブの切り込み、アスファルトの微妙なうねり、風の巻き込み。そのすべてがダイレクトな情報として全身に飛び込んできます。単なる「A地点からB地点への移動」だったはずの道路が、一瞬にして純粋なドライブコースへと変貌を遂げるのです。

屋根をを開けて「スパイダー」として風を感じながら走る時、私のような50代の体力が衰えかけたおっさんでも、心の底からゾクゾクするような高揚感を味わえます。車を運転することがこれほどまでに刺激的で、非日常に満ちた体験だったのかと、走るたびに深く感動してしまうわけです。

まともな「移動手段」を求めるなら、今すぐレクサスを買いに行きましょう

ここまで読んで「へえ、そんなに刺激的で面白い車なんだ!」と思った方に、一言アドバイスを差し上げます。

もしあなたが「目的地へ快適に移動するための車」をお探しなら、絶対に、4Cスパイダーを買ってはいけません。

乗り降りのしにくさはもはや介護の域ですし、荷物は驚くほど載りません。いつどこで機嫌を損ねるかわからない壊れるスリルとも隣り合わせです。

まともで快適な移動手段が欲しいのであれば、おとなしく国産のSUVを買うか、レクサスのディーラーへ行って極上のシートに包まれる車を購入してください。それが間違いなく幸せになれる道です。

ですが、もしあなたが「移動」なんていう退屈な目的を捨て去り、ただただ「車に乗ることそのもの」を楽しみたい、非日常の感覚に包まれたいと願う変態……失礼、愛好家であるならば。

4Cスパイダーは、あなたの人生の価値観をガラリと変えてしまうほどの最高のパートナーになるはずです。

不便であればあるほど、手がかかればかかるほど愛おしい。そんなオタク特有の面倒くさい心理を、このイタリア生まれのスパルタンな奴は完璧に満たしてくれます。

というわけで、今回は4Cスパイダーという「乗るためだけの最高の乗り物」について語らせていただきました。

最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

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